健診で心電図の異常を
指摘された方へ
心配のいらない所見と、
調べておきたい所見があります
健康診断の心電図では、「右脚ブロック」「期外収縮」「ST-T変化」「左室高電位」など、聞き慣れない言葉が結果用紙に書かれることがあります。「要経過観察」「要精密検査」と書かれていても、自覚症状がないと、どうすればよいか迷ってしまいます。
心電図で指摘される所見の多くは、体質や体型によるもので、心配のいらないものです。一方で、心房細動のように治療が必要な不整脈や、心臓の病気が隠れているサインのこともあります。
当院では、日本不整脈心電学会認定の不整脈専門医である院長が、心電図をあらためて確認し、必要な検査と、心配の要否をご説明します。
お持ちいただくもの
- 健診の結果用紙(心電図の波形があれば、あわせてお持ちください)
- 過去の健診結果(同じ所見が以前からあるかどうかは、大切な手がかりです)
- お薬手帳(お持ちの方)
- マイナンバーカード、または資格確認証
※紹介状は不要です。
よく指摘される所見の意味
所見をおおまかに3つに分けてご紹介します。ただし、同じ所見でも、症状の有無や年齢、持病、前回の健診からの変化によって判断は変わります。あくまで目安としてご覧ください。
心配の少ないことが多い所見
洞性不整脈
呼吸に合わせて脈の間隔が少し変わるもので、特に若い方によくみられます。多くは正常な反応です。
洞性徐脈・洞性頻脈
脈がやや遅い・やや速い状態です。運動習慣のある方は脈が遅めになり、緊張や発熱、貧血などで速くなります。症状がなければ多くは心配ありません。
右脚ブロック(不完全・完全)
心臓の右側に電気が伝わる道が少し遅れている状態で、健康な方にもよくみられます。単独で症状がなければ、多くは経過観察で十分です。
1度房室ブロック
心房から心室へ電気が伝わるのに、少し時間がかかっている状態です。多くは心配のないものです。
軸偏位・時計回転/反時計回転
心臓の向きや位置を反映した所見で、体型によっても変わります。単独であれば、多くは心配ありません。
一度、詳しく調べておきたい所見
期外収縮(上室性・心室性)
本来のタイミングより早く心臓が動く不整脈です。多くは心配ありませんが、数が多い場合や連続して出る場合、心臓の病気が隠れている場合もあるため、ホルター心電図や心エコーで確認します。
左室高電位・左室肥大
心臓の壁が厚くなっている可能性を示す所見です。痩せた若い方では正常でもみられますが、高血圧のある方では心臓に負担がかかっているサインのことがあり、心エコーで確認します。
ST-T変化・陰性T波
心臓の筋肉への血流不足(狭心症)、心肥大、心筋症などで現れることがあります。特に異常がないこともありますが、心エコーなどで原因を確かめておきたい所見です。
異常Q波
過去に心筋梗塞を起こした跡の可能性を示す所見です。電極の位置や体型で出ることもあるため、心エコーで心臓の動きを確認します。
左脚ブロック
心臓の左側に電気が伝わる道が遅れている状態です。右脚ブロックと違い、心臓の病気が背景にあることがあるため、心エコーで確認します。
WPW症候群
生まれつき、心房と心室の間に電気の通り道が余分にある状態です。突然脈が速くなる発作を起こすことがあり、カテーテル治療(カテーテルアブレーション)で根治できます。動悸の発作がある方はご相談ください。
QT延長
心臓が電気的に回復するまでの時間が長い状態です。お薬や血液中の電解質、生まれつきの体質が原因のことがあり、まれに危険な不整脈につながるため確認が必要です。
ブルガダ型心電図
特徴的な波形で、多くは症状のないまま経過しますが、まれに危険な不整脈を起こすことがあります。失神したことがある方、ご家族に若くして突然亡くなった方がいる場合は、特に詳しい評価が必要です。
早めに受診していただきたい所見
心房細動・心房粗動
脳梗塞の原因になる不整脈です。症状がなくても、脳梗塞を防ぐ治療が必要かどうかを判断するため、早めにご受診ください。心房細動について詳しくみる
2度・3度房室ブロック
心房から心室への電気の伝わりが途切れる状態です。めまいや失神、息切れの原因になり、ペースメーカーの治療が必要になることがあります。
症状を伴う所見
心電図の所見にかかわらず、動悸・胸の痛み・息切れ・めまい・失神などの症状がある方は、早めにご受診ください。
「心配の少ない所見」でも、前回の健診にはなかった所見が新しく出てきた場合や、動悸・息切れ・めまいなどの症状がある場合は、一度ご相談ください。
当院での検査の進め方
Step 01
心電図の再検査
不整脈専門医が、あらためて心電図を記録して確認します。この段階で、心配のいらない所見とお伝えできることも多くあります。
Step 02
心臓超音波検査(心エコー)
心臓の動き、壁の厚さ、弁の状態を調べ、心電図の所見の背景に心臓の病気がないかを確認します。
Step 03
ホルター心電図
期外収縮の数や、ときどきしか出ない不整脈を、24時間または7日間の記録で調べます。
Step 04
血液検査など
電解質や甲状腺の働き、貧血などを確認します。必要に応じて胸部レントゲンも行います。
すべての検査を行うわけではありません。所見と症状に応じて、必要な検査だけをご提案します。さらに詳しい検査や治療が必要な場合は、地域の基幹病院へご紹介します。
心電図の異常についてよくあるご質問
毎年同じ所見で「要経過観察」と書かれます。受診は必要ですか?
以前から同じ所見で変化がなく、症状もなければ、心配のいらないことが多くあります。ただし、一度も詳しく調べたことがない場合は、心エコーなどで心臓に問題がないことを一度確認しておくと安心です。過去の健診結果をお持ちいただくと、変化の有無が分かります。
「要精密検査」と書かれていますが、症状はまったくありません。
症状がなくても、心房細動のように治療が必要な不整脈や、心臓の病気が見つかることがあります。結果用紙をお持ちのうえ、一度ご受診ください。詳しく調べた結果、心配のいらない所見と分かることも多くあります。
運動を続けても大丈夫ですか?
多くの所見は運動に影響しませんが、所見によっては運動の前に詳しく確認したほうがよいものもあります。特に、運動中に動悸・胸の痛み・めまいなどを感じたことがある方は、運動を控えて早めにご相談ください。
動悸や脈の乱れが気になる方は動悸・脈の乱れのページ、不整脈の検査については不整脈外来のページ、健診で心電図以外の項目も指摘された方は健診で異常を指摘された方へをご覧ください。
気になる症状は、早めのご相談を。
「歳のせいかな」と思っていた息切れが、心臓のサインであることもあります。
長岡のかかりつけ医として、お待ちしています。