きしクリニック
diabetes

糖尿病

about

血糖だけでなく、
心臓と血管を守る治療を

糖尿病というと、目や腎臓、足の病気を思い浮かべる方が多いかもしれません。実は糖尿病は、心筋梗塞や心不全など、心臓の病気とも深い関係があります。

糖尿病の多くは、自覚症状がないまま進みます。のどが渇く、尿の量や回数が増える、食べているのに体重が減るといった症状は、血糖がかなり高くなってから現れるサインです。思い当たる方は、早めにご受診ください。

一方で、うれしい変化もあります。糖尿病の治療や、血圧・コレステロールの治療が進歩したことで、糖尿病の方が心臓や血管の病気で亡くなる割合は、この50年で大きく減りました。いまの糖尿病は、きちんと治療を続ければ「上手につきあえる病気」です。

当院では、循環器専門医が血糖だけでなく、血圧・コレステロール・心臓の状態まであわせて診療しています。健診で血糖やHbA1cが高いと言われた方も、すでに治療中の方も、お気軽にご相談ください。

お持ちいただくもの

  • 健診の結果用紙(過去の結果があれば、あわせてお持ちください)
  • 直近の血液検査の結果(ほかの医療機関で検査を受けた方)
  • お薬手帳(お持ちの方)
  • マイナンバーカード、または資格確認証

※紹介状は不要です。

complications

糖尿病は「血管の病気」です

血糖の高い状態が続くと、全身の血管が少しずつ傷み、動脈硬化が進みます。どの合併症も、かなり進むまで自覚症状がほとんどありません。症状のないうちからの治療と定期的なチェックが大切です。

細い血管が傷むと

目(網膜症)、腎臓(腎症)、神経(手足のしびれ・感覚の低下)に合併症が起こります。

太い血管が傷むと

心臓の血管がつまる心筋梗塞、脳卒中、足の血管がつまる病気が起こりやすくなります。

糖尿病の方は、胸の痛みを感じにくいことがあります

神経の働きが鈍くなり、心筋梗塞を起こしても強い痛みを感じないことがあります。胸の圧迫感だけでなく、「なんとなく息苦しい」「冷や汗が出る」といった症状が続くときは、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。

good news

糖尿病があっても、
長生きできる時代に

日本糖尿病学会は、糖尿病の方が亡くなった原因を10年ごとに全国で調べています。1971〜1980年には、亡くなった方の41.5%が心筋梗塞・脳卒中・腎不全といった血管の病気によるものでした。それが2011〜2020年には10.9%と、約4分の1にまで減っています。

糖尿病の方が亡くなったときの平均年齢も、1991〜2000年の男性68.0歳・女性71.6歳から、2011〜2020年には男性74.4歳・女性77.4歳へと、20年で約6歳のびました。

5つの目標がそろえば、糖尿病のない方とほぼ同じに

スウェーデンで糖尿病の方約27万人を調べた研究では、次の5つがそろっていた方は、死亡・心筋梗塞・脳卒中の危険が、糖尿病のない方とほとんど変わりませんでした。

  • 血糖が目標の範囲内
  • 血圧が目標の範囲内
  • コレステロールが目標の範囲内
  • 尿たんぱくが出ていない
  • たばこを吸わない

ただし、心不全で入院する危険だけは、5つがそろっていても糖尿病のない方より高いままでした(約1.45倍)。心不全への備えについては、このページの後半でご紹介します。

出典:日本糖尿病学会「アンケート調査による日本人糖尿病の死因 2011〜2020年」(糖尿病 2024;67:106-128)ほか同学会の調査/Rawshani A, et al. N Engl J Med 2018;379:633-644

five fingers

心臓を守る「5本の指」

糖尿病の方が心筋梗塞を防ぎ、長生きするための対策を、手の5本の指に当てはめて覚える考え方があります。親指から順に、効果の大きいものが並んでいます。治療というと血糖ばかりに目が向きがちですが、たばこ・血圧・コレステロールも同じくらい大切です。

親指

たばこをやめる

いちばん大切な対策です。たばこは血管を傷つけ、血液を固まりやすくします。たばこを続けたままでは、ほかの治療の効果が台無しになってしまいます。自力でやめるのが難しい方は、禁煙外来でお薬の助けを借りて取り組めます。

人さし指

血圧を下げる

目標の目安は、診察室で130/80mmHg未満、ご家庭で125/75mmHg未満です。朝と晩、ご家庭で血圧を測る習慣をつけましょう。詳しくは高血圧症のページをご覧ください。

中指

心臓を守るお薬を使う

この10年ほどで、血糖を下げるだけでなく、心臓や腎臓を守る効果が確かめられたお薬が使えるようになりました。心不全による入院や腎臓病の悪化を減らすお薬(SGLT2阻害薬)、心筋梗塞・脳卒中を減らすお薬(GLP-1受容体作動薬)などです。

薬指

コレステロールを下げる

悪玉(LDL)コレステロールの目標の目安は120mg/dL未満です。合併症がある方や喫煙中の方は100未満、心筋梗塞を起こしたことがある方は70未満と、さらに低い目標になります。欧米のガイドラインではもっと厳しく、たとえばヨーロッパ心臓病学会は、合併症のある糖尿病の方や心筋梗塞を起こしたことがある方に55未満を目標としています。「低いほどよい」が世界の流れです。当院でも、心筋梗塞を起こしたことがある方など特に危険の高い方は、55未満を目標に治療しています。コレステロールのお薬は、心筋梗塞を減らすことが確かめられています。詳しくは脂質異常症のページをご覧ください。

小指

血糖を整える

HbA1c 7.0%未満が目安です。小指に置かれているのは、心臓の病気を防ぐ効果としては他の4つより小さいためですが、目・腎臓・神経の合併症を防ぐための土台であることに変わりはありません。

目標はお一人おひとり違います

ここに挙げた目標は、各学会のガイドラインに基づく一般的な目安です。年齢や持病、低血糖の起こりやすさなどによって、あなたに合った目標は変わります。診察でご相談のうえ決めていきます。

出典:Erlich DR, et al. Am Fam Physician 2014;89:256-258 をもとに作成/コレステロールの目標値:日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022、ESC/EAS Guidelines 2019

heart

見逃したくない、
心不全と心房細動

糖尿病では、血管がつまる病気だけでなく、心臓のポンプの力が弱る「心不全」や、脈が乱れる「心房細動」も起こりやすくなります。高い血糖が続くこと自体が、心臓の筋肉を傷めることがあるためです。どちらも早く気づくことが大切です。

心不全の早めのサイン

  • 以前は平気だった階段や坂道で、息が切れる
  • 足のすねやくるぶしがむくむ(指で押すと、へこんだあとが残る)
  • 数日で体重が2kg以上増える(太ったのではなく、体に水がたまったサイン)
  • 夜、横になると息苦しく、座ると楽になる

毎朝、起きてトイレを済ませたあと、同じ条件で体重を測る習慣がおすすめです。急に増えたときは早めにご受診ください。

自分で脈をはかってみましょう

心房細動は症状がないことも多い一方、心臓の中にできた血のかたまりが脳に飛ぶと、大きな脳梗塞を起こします。ときどきご自分で脈をはかる「検脈」が、気づくきっかけになります。

  • 手首の親指側に、人さし指・中指・薬指の3本をそっと当てます
  • 15秒間数えて4倍すると、1分間の脈拍数になります
  • 数よりもリズムが大切です。脈が不規則なとき、極端に速い・遅いときはご相談ください

家庭用血圧計の「不規則脈波」の表示も、気づくきっかけになります。詳しくは心房細動のページをご覧ください。

treatment

当院の診療の考え方

Point 01

「5本の指」をまとめて診ます

血糖だけでなく、血圧・コレステロール・腎臓の状態(尿たんぱく・腎臓の働き)・喫煙まで、ひとりの医師がまとめて確認します。糖尿病・高血圧・脂質異常症は、どれも血管を傷める仲間です。

Point 02

HbA1cは、その日のうちに

HbA1c(過去1〜2か月の血糖の平均を反映する数値)は院内で測定でき、受診当日に結果をご説明します。結果を見ながら、その日のうちに治療の調整をご相談いただけます。

Point 03

循環器専門医が心臓を確認します

胸の痛みを感じにくい糖尿病の方こそ、心臓のチェックが大切です。心電図を基本に、必要に応じて心臓超音波検査(心エコー)やホルター心電図で、心臓の動きや脈の乱れを確認します。

Point 04

心臓・腎臓に合わせてお薬を選びます

糖尿病のお薬は、血糖を下げる強さだけでなく、心臓や腎臓の状態、体重、低血糖の起こりやすさ、続けやすさまで考えて選ぶ時代になりました。お一人おひとりに合ったお薬をご提案します。

Point 05

目の合併症は、眼科と連携して

糖尿病による目の合併症(網膜症)は、自覚症状のないうちに進むことがあります。定期的な眼底検査が受けられるよう、必要に応じて眼科をご紹介し、連携しながら診療を進めます。

Point 06

続けられる食事と運動を

「あれもこれも禁止」では長続きしません。効果の大きいところから、毎日の生活で続けられる工夫を一緒に考えます。治療を続けることが、心臓の病気を遠ざけるいちばんの近道です。

faq

糖尿病についてよくあるご質問

健診でHbA1cが「少し高め」と言われました。受診したほうがよいですか?

「予備群」と言われた段階でも、将来の糖尿病や心臓・血管の病気の危険は少しずつ高くなっています。この段階なら、食事や運動の見直しで改善が期待できることも多くあります。健診の結果用紙をお持ちのうえ、一度ご相談ください。

症状がないのに、心臓の検査が必要なのですか?

糖尿病の方は、神経の働きが鈍くなって胸の痛みを感じにくいことがあり、症状がないまま心臓の病気が進んでいることがあります。また心房細動も、症状がないことの多い不整脈です。心電図など、症状のないうちからの定期的なチェックをおすすめしています。

目はよく見えています。それでも眼科に行く必要がありますか?

あります。糖尿病による目の合併症(網膜症)は、見え方に異常を感じたときには、すでに進んでいることがあります。見え方に問題がなくても、眼科で定期的に目の奥(眼底)の検査を受けてください。かかりつけの眼科がない方には、必要に応じて当院から眼科をご紹介します。

糖尿病のお薬は、一度始めたら一生やめられないのですか?

早い段階で治療を始め、食事・運動・減量がうまく進めば、お薬を減らせる方もいます。ただし、自己判断でやめると血糖が再び上がり、気づかないうちに血管が傷んでしまいます。お薬を減らしたいときは、検査の結果を確認しながら一緒に進めますので、診察でご相談ください。

血圧が高い方は高血圧症のページを、コレステロールが高い方は脂質異常症のページを、健診で血糖以外の項目も指摘された方は健診で異常を指摘された方へをご覧ください。

気になる症状は、早めのご相談を。

「歳のせいかな」と思っていた息切れが、心臓のサインであることもあります。 長岡のかかりつけ医として、お待ちしています。

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