7日間ホルター心電図を開始しました
- 翔平 岸
- 11月14日
- 読了時間: 3分
更新日:11月17日
私は循環器専門医として、心臓病について広く診療を行っています。また、不整脈専門医として、不整脈に対する診療には力を入れています。不整脈とは、心臓の拍動(リズム)が乱れることです。
不整脈と言っても種類は様々です。期外収縮のようなそれだけでは害の少ないものもあれば、心房細動という脳梗塞や心不全の原因となるようなもの、心室頻拍や心室細動など命に関わるものなど多岐にわたります。不整脈診療の難しさでもあり面白さでもありますが、症状があっても治療を要さない不整脈もあれば、症状がなくても治療をしたほうがいい不整脈もあります。また、症状は一言で言えば動悸ですが、その表現の仕方は胸がドキドキする、脈が乱れる、脈が抜ける、心臓の鼓動を強く感じるなど様々であり、さらに動悸症状があっても不整脈は認められないこともしばしばあります。
不整脈診療において欠かせないのは心電図です。心電図で通常の波形とは異なる波形が記録されることが不整脈の診断においては非常に重要です。基本となるのは12誘導心電図と呼ばれるものです。

名前の通り12の波形を記録する装置です。まずはこれにより基本の記録を行います。この際に不整脈が発生すれば診断がつくこともありますが、実際にはこの瞬間に不整脈が起こってくれることはまれです。
そこで用いられるのがホルター心電図です。ホルター心電図は24時間心電図を記録する装置を装着し、外した後に記録された心電図を解析するものです。記録する時間を長くすることにより、不整脈の検出率を高くします。

このホルター心電図は不整脈診療に欠かせないものですが、いくつか難点もあります。まず、装着した24時間以内に不整脈などの異常が発生しなければ、診断がつかない可能性があります(症状があるにも関わらず不整脈が発生していなければ、その症状は不整脈とは関係ないとは言えますが)。また、この装置をクリニックで取り付けた場合、患者さんは翌日装置を返却師に来る必要があり、さらに結果の解析後に来院してもらうという手間が発生します。また、当院にはこの装置は1台しか無いため、一人に装着すると、返却されるまで他の方には検査が出来ないことになります。
この24時間のホルター心電図の弱点を補完する有用なシステムとして、最近当院では7日間ホルター心電図を取り入れました。

写真のようなものが7日間心電図のシステムです。心電図を記録する装置はこれだけです。10cmほどの長さしかなく、これを前胸部に貼り付けて心電図を記録します。シャワーや半身浴などは可能です。7日間経過したら、患者さん自身で外してもらい、レターパックで送ってもらいます。装置の返却のために来院する面倒はありません。7日間という長期間の記録により不整脈の検出率も上がります。後日解析した結果を説明するために受診していただきます。
他にも、当院では患者さんが症状を感じたときに自分で心電図を記録する携帯型心電計の貸出も行っております。スマートフォンをお持ちの方であれば簡単に使用できます。

これらの装置を患者さんの状態に合わせて使用し、適切な不整脈診療を行いたいと考えております。
クリニックを開業し、多くの患者さんが動悸症状でお困りになっていることを改めて実感しました。まだまだ開業して間もないため、患者さんに安心と適切な治療をお届けできるよう試行錯誤しているところです。動悸などの症状でお困りの方はいつでもきしクリニックへお越しください。




