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【医師監修】知っておきたい糖尿病のホント:正しく知って、すこやかに生きる

  • 2 日前
  • 読了時間: 5分
糖尿病は生活習慣病ではありません(画像はAI生成)
糖尿病は生活習慣病ではありません(画像はAI生成)

こんにちは、きしクリニックです。

「糖尿病」という病名を聞くと、「生活習慣の乱れだけが原因」「自己管理ができていないから」といったイメージを持つ方がいらっしゃるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。

実は、糖尿病は「加齢による体の変化」や「生まれつきの体質」が深く関係しており、誰もがなり得る身近な病気です。今回は、糖尿病の本当のメカニズムや近年の治療事情について、分かりやすく解説します。


1. 糖尿病ってどんな病気?(「加齢」と「体質」が引き金に)

糖尿病は、血液中の糖分(血糖値)を微調整する「インスリン」というホルモンが十分に働かなくなり、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。

「肥満や不摂生だけが原因」と思われがちですが、根底には抗うことが難しい2つの大きな要因があります。


① 年齢とともに、インスリンを作る膵臓も変化する

年齢を重ねるごとに筋肉量や体力が変化していくのと同様に、インスリンを作っている膵臓(すいぞう)の機能も、加齢とともに徐々に低下していきます。

若い頃と同じような食事や生活をしていても、年齢とともに血糖値を抑える力が自然と変化していくのは、誰にでも起こり得る生理的な現象の一部です。


② もともと日本人はインスリンを出す力が弱い

さらに、人種による体質の違いもあります。日本人は欧米人に比べて、インスリンを分泌する能力がもともと少ないことが分かっています。

インスリンを分泌する予備能力が小さいため、「生涯一度も太ったことがない、むしろ痩せ型」の方であっても、加齢による膵臓の変化が原因で糖尿病を発症するケースは少なくありません。

つまり、糖尿病は「サボってきた結果」ではなく、「年齢による体の変化と、生まれ持ってた体質」の組み合わせが大きく影響している病気です。


2. 糖尿病の診断基準

糖尿病かどうかは、主に血液検査の数値で診断します。基準となるのは以下のポイントです。

検査項目

糖尿病型と判定される基準

空腹時血糖値

126 mg/dL 以上

随時血糖値(いつでも)

200 mg/dL 以上

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

6.5 % 以上

💡 HbA1cとは?過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均を反映する値です。当日の食事に左右されないため、診断や治療の重要な指標になります。※これらが別の日に2回確認されるか、血糖値とHbA1cが同時に基準を超えている場合などに糖尿病と診断されます。

3. 注意したい「合併症」について

糖尿病そのものは、初期にはほとんど自覚症状がありません。しかし、高い血糖値を放置すると全身の血管に負担がかかり、さまざまな「合併症」を引き起こす原因になります。


① 細小血管障害(細い血管への影響)

体の中の細い血管がダメージを受けることで起こる、糖尿病に特有の合併症です。

  • 網膜症: 目の奥の血管が傷つき、視力の低下を招くことがあります。

  • 腎症: 腎臓のフィルター機能が低下し、進行すると人工透析が必要になる場合があります。

  • 神経障害: 手足のしびれや痛みの感覚が鈍くなり、怪我に気づきにくくなります。

② 大血管障害(太い血管への影響)

太い血管の動脈硬化が進み、命に関わる大きな病気を引き起こすリスクが高まります。

  • 脳卒中(脳梗塞など)

  • 心筋梗塞・狭心症


4. 近年の糖尿病治療:低血糖のリスクに配慮したお薬へ

ひと昔前の糖尿病治療といえば、「お薬のせいで血糖値が下がりすぎる(低血糖)」というリスクや不安がつきものでした。しかし、現在の医療は着実に進歩しています。

  • 低血糖のリスクが低い薬の選択肢: 患者さんへの負担が大きい低血糖を起こしやすい一部のお薬は、以前に比べて使用される機会が減ってきています。

  • 「GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)」などの登場: 近年の主流の一つとして、血糖値が高いときを中心にインスリンの分泌を促すお薬(GLP-1RAなど)が挙げられます。これらは低血糖のリスクが低いだけでなく、体重の適正化や、心臓・腎臓を保護する効果も確認されているため、現在の治療において重要な役割を担っています。


5. 知ってほしい「スティグマ(偏見)」のこと

医療の世界では今、糖尿病に対する「スティグマ(不当な偏見や羞恥心)」をなくそうという取り組みが進められています。

これまでお話しした通り、日本人の糖尿病は加齢や体質の影響がとても大きく、本人の不摂生だけが原因であるケースは決して多くありません。「自業自得だ」という周囲の偏見や、自分を責める気持ちのせいで、受診や相談をためらってしまうことこそが、適切な治療への最大の障壁となります。

大切な事実 糖尿病があっても、早期に発見して適切な治療や管理を続けていれば、糖尿病が無い方と変わらない寿命を全うできることが分かっています。糖尿病は過度に恐れるものではなく、「うまく付き合っていく体の変化」の一つです。

6. 健康な未来のために不可欠な「禁煙」

糖尿病の治療や健康管理において、お薬や食事・運動と同じくらい極めて重要なのが「禁煙」です。

糖尿病がある状態で喫煙を継続すると、血管内皮の障害や動脈硬化が加速度的に進行することが分かっています。実際、タバコを吸う糖尿病患者さんは、吸わない糖尿病患者さんと比較して、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患を発症するリスクが約2.5倍に高まるというデータが報告されています。

どれほど良いお薬で血糖値を適切にコントロールしていても、喫煙による血管への負荷が残っていると、重大な心血管イベントを十分に抑制することが難しくなります。将来の健康を守り、治療本来のメリットをしっかりと享受するためにも、ぜひ禁煙にもあわせて取り組んでいきましょう。


最後に

糖尿病治療のゴールは、無理な我慢をすることではなく、「病気のない人と変わらない、健康で幸福な人生を送ること」です。

年齢とともに変化していく体と上手に付き合うために、健診で指摘された方やご不安な方は、けっして一人で悩まず、お気軽にご相談ください。あなたに合わせた最適な治療・ライフプランを、一緒に考えていきましょう。

 
 

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